糖尿病(DM) その1
サークル”オタク語り”アドベントカレンダー 12/4
皆さんこんにちは、カシオレ侍です。
今回は「糖尿病」についてのお話です。最近、「糖尿病」の名称が変更されるということでいろいろ物議をかもしましたね。そもそも、糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?
糖尿病はどのようにして起こるのか(機序)
まずは糖尿病について語る前に、「インスリン(インシュリンとも)」というホルモンについて語らなければいけません。
私たち人間の体内では、様々なものを一定の状態に保とうとする働きがあります(恒常性、ホメオスタシスともいいます)。
たとえば、運動した後は全身の細胞で酸素がなくなってくるので、これを補うために呼吸数を上げて肺から酸素をたくさん取り入れたり、心臓が速く動いて血液をたくさん循環させて酸素を運搬したりしています。
この恒常性は身体のエネルギー、つまり糖分についても成り立ちます。先ほどの例のように、血液内の糖分、つまり血糖が低くなると血糖を上げようとし、逆に血糖が高くなると血糖を下げようします。
すなわち、私たち人間の体内では、血糖をコントロールするために様々なホルモンが働いているのです。
血糖をコントロールする有名なホルモンに、糖質コルチコイド、グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモン、インスリンなどがあります。この辺りは高校生物で習った方も多いのではないでしょうか?
実はこの中で血糖を下げる働きがあるのは一つだけです。それこそがインスリンです!
人間は昔、狩猟生活などをしていたので食べ物が十分に取れないこともあり、血糖が低い状態が長く続いていました。なので、血糖を上げるホルモンはたくさんあるのですが、血糖を下げるホルモンはあまり発達しなかったのではないかと言われています。
Point:血糖を上げるホルモンはたくさんあるが、血糖を下げるホルモンはインスリンだけ!
つまり、食事した直後、つまり糖分が血液に大量に入ってくるときはインスリンだけが頑張って血糖を下げようとしているのです!
突然ですが、ここで問題です。
この頑張り屋さんなインスリンが血糖を下げられなくなったら一体どうなるでしょうか...?
答えはシンプル、血糖が高いままになってしまいます!!!
最初のうちはそこまで問題にならないのですが、この状態が続くと全身で様々な問題が起きてしまいます。この状態こそが「糖尿病」です!!
インスリンが血糖を下げられなくなった原因で糖尿病は2つに分類することができます。
①そもそもインスリンが足りない
②インスリンはあるが、血糖を下げる機能が低下している
①の方が1型糖尿病、②の方が2型糖尿病と呼ばれています。
①は生まれつきインスリンが出ない場合や、自己免疫の問題で出なくなってしまう場合が当てはまります。なので割と若い人や、やせ形の人が1型糖尿病になりやすいです。
②も生まれつきインスリンが効きにくい方がいますが、肥満でインスリンが効きにくくなった方も多くいます。なので2型糖尿病の初期は1型より中高年の肥満体形の患者さんが多い印象です。
糖尿病の症状
では、糖尿病になるとどのような症状がみられるのでしょうか?
全て挙げると非常に長くなってしまうため、ここでは代表的なものを載せていきたいと思います。
①微小血管障害(三大合併症)
糖尿病の合併症で最もよく知られている合併症です。
神経、網膜、腎臓がこの順番で障害されていきます。
神経が障害されると、温度や痛みを感じにくくなったり、自律神経失調症をきたしたりします。
網膜とは目の中の組織で、目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、脳への神経に伝達する組織で、カメラでいうとフィルムのはたらきをしています。網膜が障害されると視力が徐々に低下し、最終的に失明します。日本における失明原因の2~3位です。
腎臓が障害されると、慢性腎不全(腎臓がはたらかない状態)となり、透析をしなければいけなくなります。
②足病変
糖尿病になると足の神経や血流が障害されます。さらに、感染しやすくなるため靴ずれなどにより足に感染した部位が徐々に広がり細胞が死んでしまいます(壊疽)。最終的には、足を切断しなければならないこともあります。
③動脈硬化
糖尿病では動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしやすくなります。これにより重篤な障害が残ったり、死に至ることもあります。
特に1型糖尿病でみられやすい急性症状で、感染やストレス、治療の中断などによって意識障害が起こることがあります。これによって重篤な障害を残したり、死に至ることもあります。
Point:糖尿病になると、神経、血管や全身の臓器が障害され、様々な症状がみられるようになる。
ざっと挙げただけでも失明、透析、足切断、さらには死に至る症状がたくさん出てきました。これを予防するためにもしっかり初期から治療することが大事なのです。
あとがき
本当はここから糖尿病の診断基準、治療法について書いていきたかったのですがこれ以上書くと分量がすごいことになりそうなのでいったんここでストップです(;'∀')
ちなみに、生まれつきの人や生活習慣でインスリンが効きにくくなった人が糖尿病になるといった書き方をしたのですが、他にも糖尿病に気を付けなければならない人がいます。
それが妊婦さんです。
妊娠中は胎盤から出るホルモンの影響でインスリンが効きにくくなります。そのため、妊娠中に血糖値が高い状態になる人が多いのです。(分類でいうと②の方です!)
この状態は妊娠中の明らかな糖尿病や妊娠糖尿病の2つに分類され、診断基準も糖尿病と異なります。
このことについてもまた書いていきたいですね。
最後になりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回の記事もぜひ読んでいってくださいね♪