糖尿病(DM) その2

その1(前回)はこちらから読むことができます。

cassisorange-icalsine.hatenablog.com

 

 

皆さんこんにちは、カシオレ侍です。

 

今回は、アドベントカレンダーとは別に前回の記事を補完するものとなります。

前回、糖尿病とはどのような病気で、原因によって2つの種類に分けることができることを書きました。

一応、下に要点のみまとめておきます。

 

前回のまとめ:

血糖値を下げるホルモンはインスリンだけ

②糖尿病とは、血糖値が高い状態が続いた状態

③糖尿病になると、全身の臓器で神経、血管が障害され、様々な症状をきたす

④「インスリンが不足」して起きるのが1型糖尿病

 「インスリンが機能低下」して起こるのが2型糖尿病

 

今回は、糖尿病の診断、治療法について解説していきます。

 

 

糖尿病の検査

まずは診断についてみる前に、糖尿病ではどのような検査をするかを見ていきましょう。

 

①OGTT(経口ブドウ糖負荷試験

この先登場することが多くなるので一番に説明させていただきます。

OGTTは10~14時間の絶食後、75gのブドウ糖を経口負荷し、血糖値がどのように変化していくかを見る検査です。

当然ブドウ糖をそのまま食べさせるわけにはいかないので、お水に溶かしたものがお薬として存在します(トレーランG液75)。

正直めっちゃ甘いです。炭酸を入れたり、冷やしたりしてごまかしていますが、本当に甘い。

もちろん健常人は血糖値が急上昇するためインスリンが分泌され、時間が経過するとともに血糖値が低下していくはずですが、糖尿病の場合はインスリンが機能しないので血糖値が高いまま推移していくことになります。

 

 

インスリンが分泌されているか調べる検査

まずは、インスリンがちゃんと分泌されているか調べなければいけません。

いくつかありますが、代表的なものを1つ紹介します。

 

▶Cペプチド(CPR)

 血液検査や尿検査でこの項目が入っていることが多いです。

 Cペプチドをイメージするには、コルク付きのワインをイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。

 膵臓でいきなりインスリンが作られるわけではなく、プロインスリンという状態で作られます。ワインで例えると、製造されて瓶詰めされた状態です。

 中身のワインを飲むためにはコルクを取らなければいけません。つまり、プロインスリンの状態では血糖値を下げるはたらきができないのです。

 その後、特定の道具を使うことでコルクを使えば中身は飲めるようになるはずです。

 つまり、特定の酵素によってプロインスリンは分解されます。

 この時に一緒に出てくるものがCペプチドということです。
 インスリンはすぐ消費されてしまうので量ることが難しいのですが、Cペプチドはほとんど体内で使われることがないので、Cペプチドの量を調べることで作られたインスリンの量もわかります。

 Cペプチドが低値の時は、インスリンがそもそも分泌されていないということになるので、1型糖尿病が疑われるということになります。

 (もちろんこの検査値単体で診断することはできません)

 

③血糖コントロール

血糖コントロールとは、読んでそのまま、血糖値をコントロールすることです。

これができていない、つまり高い状態が持続している状態を血糖コントロール不良といいます。

ここでは、代表的な検査値2つを紹介します。

 

HbA1c

 巷でもよく知られている検査値です。

 最初のHbはヘモグロビンという意味で、ブドウ糖と結合したヘモグロビンの割合を示します。

 血糖値が高い人はヘモグロビンと結合する機会も増えるので、HbA1cは高値を示します。

 基準値は4.6~6.2%であり、7.0%を超えると糖尿病の合併症がみられやすくなることから7.0%が血糖コントロールの目標となります(後述)。

 

▶GA

 献血ではHbA1cの代わりにGAが用いられています。

 こちらは、ブドウ糖と結合したアルブミンの割合です。

 アルブミンはタンパク質の1つで、様々なものと結合し、運搬しています。

 こちらもHbA1c同様、血糖値が高い人のGMは高値を示します。

 

これら2つの違いは、血糖値の反映される時間の長さで、HbA1cは約1~2か月、GMは約2週を反映します。

したがって、HbA1cの方がより長い期間の血糖値を評価することができます。

しかし、貧血の人はヘモグロビン自体が減るためHbA1cも低下してしまい、正しく評価できなくなるというデメリットも存在します。

 

インスリンの効きやすさの評価

インスリンの効きやすさ(抵抗性)を調べる検査も一応存在します。ただ、基本的には血液検査をもとにコンピュータが自動で判断してくれるので、ここでは割愛させていただきます。

 

糖尿病の診断

検査が終わったら診断です!

他の病気と異なり、糖尿病は高血糖持続していることを示さなければならないので、1回で診断がつくことは意外と多くありません。

代わりに、この人糖尿病っぽいぞ?という状態として判定されることがあります。それが糖尿病型です。

糖尿病型の判定は以下の通りです。

・血糖値:空腹時血糖値≧126 mg/dL, OGTT2時間値≧200 mg/dL, 随時血糖値≧200 mg/dL のいずれか

HbA1c≧6.5%

⇒それぞれ糖尿病型と判定

空腹時血糖値とは起床時の血糖値、随時血糖値とはそれ以外の時間での血糖値という意味です。

たとえば、空腹時血糖値が120 mg/dL、HbA1cが6.9%の人の場合、HbA1cのみ糖尿病型、という判定になります。

そしてこれをもとに以下のアルゴリズムに従って診断していく流れになります。

(糖尿病標準診療マニュアル2022より抜粋)

 

簡単に説明すると、

初回で血糖値、HbA1cともに糖尿病型であれば糖尿病

どちらかしか満たしていなかった場合は再検査し、糖尿病型がみられれば糖尿病

2回やってもHbA1cしか糖尿病型ではなかった場合は糖尿病と診断せず再検査

といった流れです。

 

簡単に糖尿病と言っても診断は意外と大変なんですね(;'∀')

 

糖尿病の治療

糖尿病の治療法は1型と2型で大きく異なります。

1型はそもそもインスリンが分泌されていないので、外から補充してあげる必要があります。なので、インスリンを自分で注射してもらいます。

皆さんがイメージする糖尿病といえばこちらかもしれないですね、、

他にも、食事や運動に気を付けてもらう、食事療法や運動療法も行います。

2型は生活習慣が悪いためにインスリンが効きにくくなっている人が多いため、まずは生活習慣を改善してもらう必要があります。つまり、食事療法や運動療法を行います。

他にも、血糖を下げる薬を飲んでもらったり、血糖コントロール不良の場合はインスリン注射を行ったりします。

 

あとがき

専門的に、かつ分かりやすく伝えようとした結果、文字数想定より長くなってすみません...

とにかく糖尿病は初期にしっかり治療するかしないかで予後が全く異なります!

 

糖尿病かな?と疑うポイントは2つ

 

①なんかおしっこが泡立ってる

②足の感覚が最近鈍い

 

どちらかが続くようでしたら医療機関に行くことをお勧めします。

杞憂で済むならそれに越したことはないですからね!

 

最後まで見ていただいてありがとうございました、次回の記事もぜひご覧ください♪