モビプレップで乾杯した話
みなさんお久しぶりです、カシオレ侍です。
今、医学科6年生は病院での面接やマッチングに忙しい時期で、周りにも最後の追い込みに病院見学に行く人がたくさんいます。
今回は、自分が過去に回った病院見学で最もインパクトに残った話をしたいと思います。
その病院は救急が有名で、救急科を回らせていただいたのですが、
「はいこれ😊」
と看護師さんから突然紙コップを渡されたのです。
その看護師さんの手にはモビプレップがあったのでした..!
医療従事者以外の方にもモビプレップの説明をしますと、この薬は大腸内視鏡や大腸手術の前に、腸管の中にある排泄物💩を予め排泄させるための下剤です。
「経口腸管洗浄剤」と言う文字だけ見るといかついですが、下剤です(念押し)。
お医者さんや看護師さんからは「ポカリスエットみたいな味するから大丈夫よ〜」「2リットルがんばって飲んでね〜」と説明を受けるのですが...
患者さんからは不評で、まずいまずいと言いながら鼻を摘んで飲んでらっしゃる方も結構いるくらいです。
まさかその薬を見学先で飲むことになるとは!
気づいたら、周りの看護師や医師も同様にモビプレップの入った紙コップを手に取っていました。
そして
「かんぱーい🍺」
と居酒屋よろしく一気飲みしたのでした。
これ下剤だし、処置室の一角なんですけどね...
ちなみに味は確かにポカリスエットに近いなとは思いましたが、
独特の苦味があり、何より後味が悪いこと悪いこと!
甘いジュースを飲んだ後に口の中に粘りつく感じがしばらく続いていました。
でも、鼻つまむほどは不味くないなと思いました。
といっても、自分は紙コップ1杯だけだったので、2リットルこれを飲めと言われたら確かにしんどいかもしれませんね笑
その後は無事(?)下剤の効果も現れずに一日過ごすことができました。
今思い出しても、なかなかあのような経験は実習や研修でもできるものではないので、貴重な経験をさせていただいたなと思っています。
ドリームスリーパーに乗った感想
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
カシオレ侍です。
今回は、先日乗車したドリームスリーパー 東京・大阪奈良号に乗った感想についてまとめていきたいと思います。
詳細はこちらから(当ブログではアフィリエイト収入等は一切受け取っておりません)
皆さんは夜行バスに乗ったことはありますか?
私は東京に出かけたり、スキーに行くため長野に行ったりする際に利用していたのですが、いつも寝づらくてしんどい思いをしていました。
特に、大人数が乗るタイプのバスはトイレもついていないものが多く、トイレに行きたいけれど休憩まであと十分以上もある...!ということもざらでした。
なので、少し多めにお金を払ってでも新幹線や飛行機に乗っていくことが結構多かったです。
他にも、なかなか寝づらい、スマホを使うとき周りの人の視線が気になる、温度調節が難しい、など安さと引き換えにいろいろ我慢しなければいけませんでした。
そんなしんどさを払拭してくれる、夢のような夜行バス、それこそがドリームスリーパーなのです!!!
今回は写真とともに感想をお届けしていきたいと思います!
写真とともに解説
▼23:05 新宿バスタにドリームスリーパー到着!!
周りの人も写真を取り出してパシャッてしまう、まさに陸の豪華客船✨
▼横から見るとこんな感じ。
写真には残せませんでしたが、乗車するときに靴を脱いで専用のスリッパに履き替えます。
▼中はこんな感じ。黒を基調とした落ち着いた雰囲気。
たった11席しかなく、予約を取るのが本当に難しいです、、
たまたま取れてラッキー!
扉の鍵はかかりませんが他の人の音も気にならないくらい防音性があります。
▼夜は少しムーディーな感じに(少しボケてしまってすみません)
フットライトはありますが、寝てるときはほぼ気になりません。
▼席はこんな感じ。中に置いてある紙袋は僕の荷物です(;'∀')
アメニティも充実しており、本当にちょっとしたホテルのようです。
上の荷棚にはなんとパジャマまで置いてあります。
もはや夜行バスではない(経済白書並感)。
▼寝る時はこんな感じ。パジャマを着て、2枚のブランケットをかけて寝ます。
なんかリラクゼーション効果のありそうな波の音を聞きながら、備え付けのホットアイマスクをしています。
ちなみにこれは発車してすぐだったので窓の外が少し明るくなっていますが、この後ちゃんと消灯してます。
なお、席はフットレストなど電動でいろいろな角度に変えれますが、法律的に完全に倒すことはできないみたいです、、
一応この写真でマックス倒してます。
▼お手洗いもばっちり存在しています!
ただ、客室よりは狭かったです👼
とはいえウォシュレット等も完備されており、石鹸の位置と狭さ以外は文句なしです。
体格の大きい人は少し不便かも、といった感じ(筆者は172cm中肉中背)
▼パウダールームは別でバスの最後尾に存在しています。
アメニティに歯ブラシがあったので朝起きて使わせていただきました。
寝起きなので顔がいつもの100倍くらいブスでした。見ないで!!
他にもウェットタオルや耳栓、謎のイオン発生機など本当にファシリティが充実しており、お値段相応、いやお値段以上の体験をさせていただきました!!
この日は成人の日だったこともあり人が少なくて助かりました(;´・ω・)
これまで乗ってきた夜行バスの中で群を抜いて良質な睡眠がとれたと思います(序盤は興奮しすぎて眠れないという子供みたいなことになっていましたが、、)
気になった点
ここからはドリームスリーパーに乗車する際、個人的に気を付けていただきたい点をいくつかあげさせていただきます。
①ヘアブラシは持参した方がよい
公式サイトからも確認できますが、ヘアブラシは備え付けられていません。
なので、夜行バスから降りた時の髪が気になる!という人はヘアブラシをしっかり持参するかコンビニであらかじめ買っておくことを強くお勧めします。
②カーテンが完全には締まり切らない
個人的に一番気になった点です。
窓側に2枚のカーテンが客室にあり、ボタンでぱちぱち留めていく形式なのですが、その間から若干光が漏れてきてしまいます。
ペットボトルを重しにしてなんとかしようとしたのですが、結局漏れる光は完全になくすことができませんでした...
あらかじめカーテンを留めておくクリップを買っておくとよかったかも、と思いました。
なお、アイマスクをして寝る方はあまり気にならないのかもしれません。
③足元が結構熱くなる
私が乗ったのが1/8~1/9の真冬の季節だったからこその問題かもしれません。
フットレストがふわふわする毛布のような素材だったため、ブランケットをかけると結構すぐに足が蒸れてしまいます。
暖房はそれほど強くなかったのですが、このあたりはなかなか温度調節が難しくて苦労しました。
上記の通り、いくつか気になる点はありましたが、それを上回る上質な睡眠体験をすることができました。
皆さんもぜひドリームスリーパーで上質な睡眠体験をしていただければと思います。
今回はこれで終わりです。
次回の記事もぜひ読んでくださいね♪
キ〇セクを医学的に考えてみる
サークル”オタク語り”アドベントカレンダー 12/24
今回はタイトルの通り、アダルトな内容を多く含む記事となります。
苦手な方はブラウザバックをお願いします。
皆さんこんにちは、カシオレ侍です。
クリスマスイブの記事を担当するというなかなかの大仕事を任されてしまいました。
いろいろ考えたのですが、今回は「キメセク」について少しだけ考察してみたいと思います。
他意はないよ!たまたまクリスマスイブだっただけだよ!!
さて、今回の考察の結論を先に言ってしまいましょう。
北欧の人はキメセクをしている
これだけ書くと差別だとか卑猥だとかいろいろ言われそうなので、ここに至るまでの思考回路をこれから説明していきたいと思います。
まず、キメセクについて掘り下げたいと思います。
キメセクとは、「薬を用いて行う性行為」とここでは定義したいと思います。海外では "Chemsex" などと呼ばれます。Chem(化学の)sexという意味ですね。
日本では薬物を取り締まる法律や広告、教育が広まっているおかげか、なかなか街中でヤバい薬物をキメている人はなかなか見ませんね。最近は、大麻所持で芸能人が捕まったというニュースを聞くことも増えましたが、それでも海外に比べれば全然少ない方です。
海外では若者の薬物乱用が問題となっている国も多いです。
個人的に紹介したい動画が、アメリカ合衆国フィラデルフィアのケンジントン通りの現状に関する動画です。
YouTubeで「フィラデルフィア ゾンビ」で検索するとグロテスクな動画が出てくると思います。
このゾンビとは薬物中毒者であり、失業した多くの人々が薬物におぼれた結果、動画のような惨状になってしまったのです。
これが地方の町ならともかく、アメリカで6番目に大きな都市ですら薬物が蔓延した状態です。
日本で6番目の都市は東京23区を含めると福岡県福岡市です。つまり、日本で例えると博多にヘロインなどの薬物を乱用したゾンビが大量にいる状態になります。想像するだけで恐ろしいですね。
キメセクでは性的快感を高めるために性行為の最中、あるいは前後に薬を用いています。
では、性的興奮を高める薬にはどのようなものがあるのでしょうか。
有名なものに性的興奮を高める代表的な違法薬物にMDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)があります。MDMAはエクスタシーという別名をもつ幻覚剤です。
MDMAは脳内のセロトニン等を過剰に放出させることにより、人間の精神に多幸感、他者との共感などの変化をもたらすと考えられています。
また、愛情ホルモンとして知られるオキシトシンの放出も増加させることが知られています。
そして、身近なものとして私たちが利用しているものがアルコールです。
アルコールは薬として認識されることが少ないですが、体に作用する立派な薬物の一つです。
アルコールを摂取することでリラックスすることができ、心因性EDの改善などに良い影響を及ぼすと考えられています。
(画像引用:Journal Sexual Medicine VOL 16, ISSUE 5, P721-732)
上図において、Aは男性、Bは女性において、それぞれ縦軸を”increased enjoyment or capacity for sex or physical activity”、簡単に言えば「性的な満足度がどれぐらい上昇したか」を10点満点で評価したものです。
左から2番目がMDMA、左から8番目がアルコールですが、それぞれ6点、4点となっています。
実はMDMAに比べるとアルコールは少し点数が低くなりますが、アルコールは性的快感を強めるのに十分はたらくのです。
なお、タバコはあまり性的興奮を高めるのに寄与していないようです。
したがって、私たちが最も手軽にキメセクするにはアルコールを摂取すればよいのです!!
ここで話は変わりますが北欧について少し考えてみましょう。
皆さんはフィンランドでのバス停の並び方が一度バズったことを覚えていますか?
「フィンランド人 バス停」で調べると分かると思いますが、一人ひとりの感覚が日本とは比べ物にならないほど開いています。
これは、フィンランドの人口が2021年で554.2万人と少ないことも一つの原因でしょうが、最も大きな原因として、パーソナルスペースが広いことが挙げられます。
なお、この傾向はフィンランドだけではなく北欧全体でみられるそうで、北欧の人は全体的にパーソナルスペースが広く、殆どの人は家族と数人の親友だけという社交範囲であるようです。
そんな彼らはどのようにして出会いの場を持つのかというと、クラブなどでお酒を飲んで交流するようです。
お酒を飲んでいる間はパーソナルスペースも少しおさまるみたいです。
つまり、お酒を飲むことで男女の出会いを果たしているのです。(もちろん同性同士の場合もあります)
お酒は先ほど述べたようにキメセクの代表的な薬だと考えると、最初に述べた結論にたどり着くのではないでしょうか?
北欧の人はキメセクをしている
... 北欧の人は出会いにお酒がほぼ必須だから、ということでこのような結論にしましたが、、、
実のところ、北欧の人だけではなく、多くの国の人がアルコールを飲んで出会いを求めていることが先ほど引用した論文にも書いています。
なんなら、読者の中にも、お酒飲んでからホテル行ったことありまーすって方も結構多くいらっしゃると思います。
つまり、人類はみなキメセクが大好きってことですね!!!!!!
主語デカくない?
さんざんひどい内容を書き連ねてきましたが、今回の記事は一種のジョークのようなものとして受け取っていただければ幸いです。
なお、性的興奮のメカニズムは今なお研究の最先端となっています。特に女性の方が複雑で、匂い、声、見た目などさまざまな因子が絡み合っており解明されるのはまだまだ先になりそうです。
また、アルコールは身近なキメセクの薬だと言いましたが、過剰なアルコールの摂取は逆に脳の中枢神経を抑制するためEDの原因となることがあります。
お酒もキメセクもほどほどに!ということですね。
今回の記事はここまでです。
アドベントカレンダーの担当はこれが最後となります。
今後も定期的に記事を書いていきたいと思っているので、次回以降も皆さんよろしくお願いします♪
細菌性食中毒について
サークル”オタク語り”アドベントカレンダー 12/18
皆さんこんにちは、カシオレ侍です。
今日は食中毒についてのお話です。
おそらく次書く同人誌は食中毒についての本になると思います。
公衆衛生の中でも最も身近であり、実生活に活かしやすい内容だと思っております。
今回の記事で扱うのは細菌による食中毒、すなわち細菌性食中毒です。
細菌性食中毒は発症する機序によって以下の3つに分類することができます。
①感染型食中毒
②毒素型食中毒
③中間型食中毒
それぞれの特徴、及び菌種を見ていきましょう。
続きを読む次の同人誌について
サークル”オタク語り”アドベントカレンダー 12/11
皆さんこんにちは、カシオレ侍です。
今回は私が書いている同人誌についてのお話です。
今年(2022年)の10月1日に博物ふぇすてぃばる!に「オタク語り」として参加させていただきました。
その際、2つ同人誌を出させていただきました。
1つ目は、サークルのメンバーの合同誌である「多岐にわたる本 vol.1」です。
こちらに私は医学担当として記事を書いております。
「多岐にわたる本」では、詳しく知らない学生や一般の方にも楽しんでもらえるという点を心がけて、各々の専門範囲について語るという裏テーマがありました。
私は当初ある疾患について深く掘り下げようかと思ったのですが、文字数の都合や、やや難解になってしまう恐れがあったため現在のものへ変更しました。
結果として、意外とこんなことやってるんだ~と感じられるものになったのではないかと思います。
一応オンラインからも購入できるそうなので良ければどうぞ。
2つ目は、個人で出版した「医術開業後期試験問題集」です。
自分は医学を専門としておりますが、昔から漢字が大好きで、特に旧字体に対する憧れがあり、完全に私の欲望を満たすためだけに書きました。
自分で書いて自分の欲を満たせる、これが自給自足...ってこと?
こういった経緯で書いたもののため、「多岐にわたる本」とは異なり専門性はかなり高い本となります。
なので、正直買ってくださる方がいるか心配だったのですが...買ってくださった方々、本当にありがとうございます!!一緒に漢字欲も医学欲も満たしていきましょグヘヘ
なお、紙媒体での再販は現在していませんが、kindle版として購入することはできます。ただし紙媒体とは少々異なるためご了承ください。
Unlimitedに加入している方は無料で読めるみたいです!ぜひご覧になってくださいね~
なんか完全に宣伝みたいになっていますが、ここからが本題、次に書きたい同人誌に関するお話です。
1つ目は「多岐にわたる本 vol.2」です。
前回は軽くざっと触れる程度だったのですが、他のメンバーが思ったより説明している人も多かったので、次はしっかり「ためになったね~」といえるような記事を書きたいなと思っています。
2つ目は公衆衛生に関する本です。
実は、博ふぇす前にも企画はあったのですが、まとまり切らなかったということで刊行に至りませんでした。
次回博ふぇすに参加する際には公衆衛生に関する本を出したいと思っています。予定では食中毒に関する本、人口統計に関する本です。
今回はこれにておしまいです!
また次回の記事も読んでくださいね♪
糖尿病(DM) その2
その1(前回)はこちらから読むことができます。
cassisorange-icalsine.hatenablog.com
皆さんこんにちは、カシオレ侍です。
今回は、アドベントカレンダーとは別に前回の記事を補完するものとなります。
前回、糖尿病とはどのような病気で、原因によって2つの種類に分けることができることを書きました。
一応、下に要点のみまとめておきます。
前回のまとめ:
①血糖値を下げるホルモンはインスリンだけ
②糖尿病とは、血糖値が高い状態が続いた状態
③糖尿病になると、全身の臓器で神経、血管が障害され、様々な症状をきたす
④「インスリンが不足」して起きるのが1型糖尿病
「インスリンが機能低下」して起こるのが2型糖尿病
今回は、糖尿病の診断、治療法について解説していきます。
糖尿病の検査
まずは診断についてみる前に、糖尿病ではどのような検査をするかを見ていきましょう。
①OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)
この先登場することが多くなるので一番に説明させていただきます。
OGTTは10~14時間の絶食後、75gのブドウ糖を経口負荷し、血糖値がどのように変化していくかを見る検査です。
当然ブドウ糖をそのまま食べさせるわけにはいかないので、お水に溶かしたものがお薬として存在します(トレーランG液75)。
正直めっちゃ甘いです。炭酸を入れたり、冷やしたりしてごまかしていますが、本当に甘い。
もちろん健常人は血糖値が急上昇するためインスリンが分泌され、時間が経過するとともに血糖値が低下していくはずですが、糖尿病の場合はインスリンが機能しないので血糖値が高いまま推移していくことになります。
②インスリンが分泌されているか調べる検査
まずは、インスリンがちゃんと分泌されているか調べなければいけません。
いくつかありますが、代表的なものを1つ紹介します。
▶Cペプチド(CPR)
血液検査や尿検査でこの項目が入っていることが多いです。
Cペプチドをイメージするには、コルク付きのワインをイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。
膵臓でいきなりインスリンが作られるわけではなく、プロインスリンという状態で作られます。ワインで例えると、製造されて瓶詰めされた状態です。
中身のワインを飲むためにはコルクを取らなければいけません。つまり、プロインスリンの状態では血糖値を下げるはたらきができないのです。
その後、特定の道具を使うことでコルクを使えば中身は飲めるようになるはずです。
この時に一緒に出てくるものがCペプチドということです。
インスリンはすぐ消費されてしまうので量ることが難しいのですが、Cペプチドはほとんど体内で使われることがないので、Cペプチドの量を調べることで作られたインスリンの量もわかります。
Cペプチドが低値の時は、インスリンがそもそも分泌されていないということになるので、1型糖尿病が疑われるということになります。
(もちろんこの検査値単体で診断することはできません)
③血糖コントロール
血糖コントロールとは、読んでそのまま、血糖値をコントロールすることです。
これができていない、つまり高い状態が持続している状態を血糖コントロール不良といいます。
ここでは、代表的な検査値2つを紹介します。
巷でもよく知られている検査値です。
最初のHbはヘモグロビンという意味で、ブドウ糖と結合したヘモグロビンの割合を示します。
血糖値が高い人はヘモグロビンと結合する機会も増えるので、HbA1cは高値を示します。
基準値は4.6~6.2%であり、7.0%を超えると糖尿病の合併症がみられやすくなることから7.0%が血糖コントロールの目標となります(後述)。
▶GA
アルブミンはタンパク質の1つで、様々なものと結合し、運搬しています。
こちらもHbA1c同様、血糖値が高い人のGMは高値を示します。
これら2つの違いは、血糖値の反映される時間の長さで、HbA1cは約1~2か月、GMは約2週を反映します。
したがって、HbA1cの方がより長い期間の血糖値を評価することができます。
しかし、貧血の人はヘモグロビン自体が減るためHbA1cも低下してしまい、正しく評価できなくなるというデメリットも存在します。
④インスリンの効きやすさの評価
インスリンの効きやすさ(抵抗性)を調べる検査も一応存在します。ただ、基本的には血液検査をもとにコンピュータが自動で判断してくれるので、ここでは割愛させていただきます。
糖尿病の診断
検査が終わったら診断です!
他の病気と異なり、糖尿病は高血糖が持続していることを示さなければならないので、1回で診断がつくことは意外と多くありません。
代わりに、この人糖尿病っぽいぞ?という状態として判定されることがあります。それが糖尿病型です。
糖尿病型の判定は以下の通りです。
空腹時血糖値とは起床時の血糖値、随時血糖値とはそれ以外の時間での血糖値という意味です。
たとえば、空腹時血糖値が120 mg/dL、HbA1cが6.9%の人の場合、HbA1cのみ糖尿病型、という判定になります。
そしてこれをもとに以下のアルゴリズムに従って診断していく流れになります。
(糖尿病標準診療マニュアル2022より抜粋)
簡単に説明すると、
初回で血糖値、HbA1cともに糖尿病型であれば糖尿病
どちらかしか満たしていなかった場合は再検査し、糖尿病型がみられれば糖尿病
2回やってもHbA1cしか糖尿病型ではなかった場合は糖尿病と診断せず再検査
といった流れです。
簡単に糖尿病と言っても診断は意外と大変なんですね(;'∀')
糖尿病の治療
糖尿病の治療法は1型と2型で大きく異なります。
1型はそもそもインスリンが分泌されていないので、外から補充してあげる必要があります。なので、インスリンを自分で注射してもらいます。
皆さんがイメージする糖尿病といえばこちらかもしれないですね、、
他にも、食事や運動に気を付けてもらう、食事療法や運動療法も行います。
2型は生活習慣が悪いためにインスリンが効きにくくなっている人が多いため、まずは生活習慣を改善してもらう必要があります。つまり、食事療法や運動療法を行います。
他にも、血糖を下げる薬を飲んでもらったり、血糖コントロール不良の場合はインスリン注射を行ったりします。
あとがき
専門的に、かつ分かりやすく伝えようとした結果、文字数想定より長くなってすみません...
とにかく糖尿病は初期にしっかり治療するかしないかで予後が全く異なります!
糖尿病かな?と疑うポイントは2つ
①なんかおしっこが泡立ってる
②足の感覚が最近鈍い
どちらかが続くようでしたら医療機関に行くことをお勧めします。
杞憂で済むならそれに越したことはないですからね!
最後まで見ていただいてありがとうございました、次回の記事もぜひご覧ください♪
糖尿病(DM) その1
サークル”オタク語り”アドベントカレンダー 12/4
皆さんこんにちは、カシオレ侍です。
今回は「糖尿病」についてのお話です。最近、「糖尿病」の名称が変更されるということでいろいろ物議をかもしましたね。そもそも、糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?
糖尿病はどのようにして起こるのか(機序)
まずは糖尿病について語る前に、「インスリン(インシュリンとも)」というホルモンについて語らなければいけません。
私たち人間の体内では、様々なものを一定の状態に保とうとする働きがあります(恒常性、ホメオスタシスともいいます)。
たとえば、運動した後は全身の細胞で酸素がなくなってくるので、これを補うために呼吸数を上げて肺から酸素をたくさん取り入れたり、心臓が速く動いて血液をたくさん循環させて酸素を運搬したりしています。
この恒常性は身体のエネルギー、つまり糖分についても成り立ちます。先ほどの例のように、血液内の糖分、つまり血糖が低くなると血糖を上げようとし、逆に血糖が高くなると血糖を下げようします。
すなわち、私たち人間の体内では、血糖をコントロールするために様々なホルモンが働いているのです。
血糖をコントロールする有名なホルモンに、糖質コルチコイド、グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモン、インスリンなどがあります。この辺りは高校生物で習った方も多いのではないでしょうか?
実はこの中で血糖を下げる働きがあるのは一つだけです。それこそがインスリンです!
人間は昔、狩猟生活などをしていたので食べ物が十分に取れないこともあり、血糖が低い状態が長く続いていました。なので、血糖を上げるホルモンはたくさんあるのですが、血糖を下げるホルモンはあまり発達しなかったのではないかと言われています。
Point:血糖を上げるホルモンはたくさんあるが、血糖を下げるホルモンはインスリンだけ!
つまり、食事した直後、つまり糖分が血液に大量に入ってくるときはインスリンだけが頑張って血糖を下げようとしているのです!
突然ですが、ここで問題です。
この頑張り屋さんなインスリンが血糖を下げられなくなったら一体どうなるでしょうか...?
答えはシンプル、血糖が高いままになってしまいます!!!
最初のうちはそこまで問題にならないのですが、この状態が続くと全身で様々な問題が起きてしまいます。この状態こそが「糖尿病」です!!
インスリンが血糖を下げられなくなった原因で糖尿病は2つに分類することができます。
①そもそもインスリンが足りない
②インスリンはあるが、血糖を下げる機能が低下している
①の方が1型糖尿病、②の方が2型糖尿病と呼ばれています。
①は生まれつきインスリンが出ない場合や、自己免疫の問題で出なくなってしまう場合が当てはまります。なので割と若い人や、やせ形の人が1型糖尿病になりやすいです。
②も生まれつきインスリンが効きにくい方がいますが、肥満でインスリンが効きにくくなった方も多くいます。なので2型糖尿病の初期は1型より中高年の肥満体形の患者さんが多い印象です。
糖尿病の症状
では、糖尿病になるとどのような症状がみられるのでしょうか?
全て挙げると非常に長くなってしまうため、ここでは代表的なものを載せていきたいと思います。
①微小血管障害(三大合併症)
糖尿病の合併症で最もよく知られている合併症です。
神経、網膜、腎臓がこの順番で障害されていきます。
神経が障害されると、温度や痛みを感じにくくなったり、自律神経失調症をきたしたりします。
網膜とは目の中の組織で、目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、脳への神経に伝達する組織で、カメラでいうとフィルムのはたらきをしています。網膜が障害されると視力が徐々に低下し、最終的に失明します。日本における失明原因の2~3位です。
腎臓が障害されると、慢性腎不全(腎臓がはたらかない状態)となり、透析をしなければいけなくなります。
②足病変
糖尿病になると足の神経や血流が障害されます。さらに、感染しやすくなるため靴ずれなどにより足に感染した部位が徐々に広がり細胞が死んでしまいます(壊疽)。最終的には、足を切断しなければならないこともあります。
③動脈硬化
糖尿病では動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしやすくなります。これにより重篤な障害が残ったり、死に至ることもあります。
特に1型糖尿病でみられやすい急性症状で、感染やストレス、治療の中断などによって意識障害が起こることがあります。これによって重篤な障害を残したり、死に至ることもあります。
Point:糖尿病になると、神経、血管や全身の臓器が障害され、様々な症状がみられるようになる。
ざっと挙げただけでも失明、透析、足切断、さらには死に至る症状がたくさん出てきました。これを予防するためにもしっかり初期から治療することが大事なのです。
あとがき
本当はここから糖尿病の診断基準、治療法について書いていきたかったのですがこれ以上書くと分量がすごいことになりそうなのでいったんここでストップです(;'∀')
ちなみに、生まれつきの人や生活習慣でインスリンが効きにくくなった人が糖尿病になるといった書き方をしたのですが、他にも糖尿病に気を付けなければならない人がいます。
それが妊婦さんです。
妊娠中は胎盤から出るホルモンの影響でインスリンが効きにくくなります。そのため、妊娠中に血糖値が高い状態になる人が多いのです。(分類でいうと②の方です!)
この状態は妊娠中の明らかな糖尿病や妊娠糖尿病の2つに分類され、診断基準も糖尿病と異なります。
このことについてもまた書いていきたいですね。
最後になりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回の記事もぜひ読んでいってくださいね♪